東大メタバースコンペティションに参加してきた (後編)
KuMA アドベントカレンダー 2023の6日目の投稿です。
前編では1日目の様子について触れたので、2日目の様子と、他の団体の作品を紹介します。
2日目
2日目も朝から展示でした。
東大キャンパスの中で新郎新婦っぽい方々が写真を取られていたのが印象的でした。
一般公開体験会
2日目は企業さんではなく一般の方々に体験会に来てもらいました。
……とは言いつつ、この体験会は大きく広報されていた気配がないので「誰も来ないのでは?」とは思っていましたが。
結果から言ってしまえば展示サークルの身内数人と東大生2人が遊びに来てくれました。 正直もうちょっと広報してくれてもよかったのになぁとは思います。
1日目ほど展示が忙しくなかったので、他のサークルの作品を体験させてもらったりもしました。 下のほうでまとめて紹介します。
一般体験会が始まる前に、東大VRサークルの先生方からインタビューを受けました。 インタビューでは作品の制作期間や工夫したこと、デモンストレーションを行いました。後日公開されるようです。
一般公開体験会は2時間ほどで終わってしまったのですが、その後にUT-virtualさんの部室にお邪魔させてもらいました。
メンバーが多いにもかかわらず席数はうちと大差ないように見えましたが、ほとんどが自前のマシンで開発しているのでそこまで支障はないとか。
帰りの話
羽田空港のターミナル内に移動用の自動運転カートがありました。面白そうなので乗ってみました。
周り1mくらいに人が近付くだけで減速・停止してくれるし、走行中はポワンポワンとした音が遠くまで聞こえるので安全にかなり配慮した様子。 人を避けたあとのリルートもしてくれるなど、かなり賢い。
ちなみに夕ご飯は「てんや」の天丼です。タレが旨いのでおすすめのお店👀
受賞作品の紹介
KuMAからは「VR花火」を展示しましたが、ほか4サークルも素晴らしい作品を展示していました。 どれもユニークで面白いものばかりだったので、作品の紹介と体験した感想をちょっと書いておきます。制作団体は敬称略で失礼します。
ぐだぐだぶとん「静寂に捧ぐ祝詞」
静寂は「しじま」、祝詞は「のりと」と読みます、念のため。
ぐだぐだぶとんさんはVRでTRPGをつくっているサークルで、本作もそのひとつです。
(TRPG=テーブルトークロールプレイングゲーム: 人間同士の会話とルールブックに従って進行する対話型のゲーム)
TRPGではお馴染みのダイスロールによる行動やゲームマスターとの会話を盛り込みつつ、各自がVR空間のアバターを操作することで視覚・聴覚の面でも楽しむことができるのが素晴らしいと感じました。落ちているアイテムの裏面を確認できたり、回想シーンを臨場感をもって楽しめたりと、VR-TRPGだからこそできる表現が豊富でした。
体験ではシナリオの冒頭だけを遊ばせてもらいましたが、本編のシナリオブックもboothで頒布しているのでぜひ友だちと遊んでみたいです。 【VR-TRPG】『静寂に捧ぐ祝詞』作品紹介 | VR-TRPGサークル ぐだぐだぶとん
マルチプレイにはclusterを利用しており、VR空間のアイテムとのインタラクトやゲームマスター用のマスターツールも完成度が高かったです。
ちなみに、代表の逆路さんは東京大学の方ですがサークルは東大のものではなく、阪大など全国各地のメンバーで構成されています。高校を卒業するときに友人を集めてつくったサークルとのことで、とても仲が良さそうな印象。
U-lab「みやプロ横丁」
宇都宮大学のサークルU-labによる作品です。
「みやプロ横丁」は栃木県宇都宮市の中心市街地・江野町横丁をモデルに、新たに計画したバーチャル横丁です。そのような場所に現実にある居酒屋などを融合することで、地元の人々が自身の記憶を重ねて体験できるという構想だそうです。
自分が感動したポイントが3つあります。
Webで遊べるVRということ、本作はmozilla hubsというプラットフォームを利用しており、QuestなどのVR HMDだけではなくPCやスマホからもブラウザを介して参加することができます。専用の機器を用意せずとも気軽に参加できるのは、ユーザーの手に取ってもらうという観点からはとても大切だと感じます。
ロードがめっちゃ速いこと。PCやスマホなどマルチプラットフォームで参加できるため、軽量化に力を入れていました。円柱は六角形とする、看板などのマテリアルは1枚の画像にまとめる、テクスチャ解像度を下げる……といった工夫により、読み込み時間をPCでは10秒、スマホでも19秒ほどに収めています。すぐに加入して体験できるというのは多くの人に受け入れてもらう上では重要な気がします。
人が集まれる環境が整っていること。みやプロ横丁には酒場や広間、レストランのように人が集まって交流できるような場所があります。さらに、それらの場所には自分のPCなどのウィンドウを投影できるスクリーンが設置されているため、集まって作業をする場としても活用できます。プレイヤーのアバターは各自のカメラ映像を表示することもでき、人と集まって何かをすることが容易にできるようになっていました。
みやプロ横丁はこちらから入れるのでぜひ。
UT-virtual「MRdance!!」
東京大学VRサークルUT-virtualさんの作品です。UT-virtualさんは今回のイベントのきっかけとなった「XR制作物プレゼン」や「全国学生VRサークル活動報告大会」でお世話になりました。
Quest 3のMR機能を活用し、キャラクターと一緒にダンスの練習ができる作品です。 実際に遊んでいる動画 を見たほうがわかりやすいと思います。
ダンスミラーのように目の前に映るキャラクターと、自分の横にいるキャラクターがいます。 ミラーの位置は任意に調節できるので、上の動画のように現実の鏡と位置合わせすればよりリアルに体験できるのが面白い。
Quest 3のフルカラーパススルーのおかげで周りの様子が見えるので、完全にバーチャル世界に没入して踊るより恥ずかしさも幾ばくか軽減されるのも良かったです。
UT-virtual「FORTE SYSTEM」
同じくUT-virtualさんの作品です。「フォルテ・システム」と読むらしい。 作品ページはこちら。FORTE SYSTEM | UT-virtual
VRChatのアバターに付けられるギミックで、最大255個の「音オブジェクト」を自由に設定して持ち運べます。
最大の特徴は、ワールドに紐づかないアバター依存の仕組みであるため、どのワールドでも遊べるというところにあります。 自分の周りに好きな楽器を並べてドラマーのように遊べたり、火炎放射を出せたりと、遊び方はプレイヤー次第のようです。
展示にいた落雁 (らくがん) さんにデモをしてもらいましたが、ポンポン出して音を鳴らせていました。 遊んでいる様子はまさに「ポケットを叩くと◯◯がひとつ」といったもので、楽しそうです。
そういえば落雁さんと話してたらVRCをめっちゃ推されましたね……始めてみようかな。
最後に
サークル活動としてローカルのイベントでの展示は何度かやってきましたが、今回のように遠征地で、しかも東京大学という大きな舞台でイベントに参加したのは初めてでした。
また、ほかのVRサークルとリアルで交流するのも初めてであり、普段どのように活動をしているのか、何を作っているのかといった話をできたのはとても良い機会だったと強く思います。
メタバースコンペティションを通して得られたコメントなどはサークル内にも共有して、今後さらに良いコンテンツ制作ができるよう、ひいてはIVRCで受賞できるような力の一助になれたらと思います。
東京モノレールから眺めたレインボーブリッジとお台場の夕景にて、お話を締めようと思います。それでは。